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2025年最新:企業が知っておくべき派遣法改正のポイント

2025年最新:企業が知っておくべき派遣法改正のポイント

2025年最新:企業が知っておくべき派遣法改正のポイント

派遣労働者の保護を目的にしている労働者派遣法は、労働市場の変化に伴い、これまでに複数回の改正をされてきました。

 

このため、派遣労働者の雇用を検討している企業は、改正のポイントを押さえておき適切な雇用環境を整えることが必要です。

 

今回は、労働者派遣法の概要、改正されてきた理由やこれまでの改正、2020年と2021年に改正された労働者派遣法のポイントについて解説します。

労働者派遣法とは

まずは、労働者派遣法の概要や目的、制定された背景についてご紹介します。

労働者派遣法の概要や目的

労働者派遣法は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」の略称であり、1985年に制定された法律です。

 

名称のとおり、派遣労働者の保護と労働者派遣事業の適切な運営を目的に制定されており、派遣労働者・派遣元企業・派遣先企業の3者に適用されます。

制定された背景

もともと、労働者供給事業は、劣悪な労働環境や供給元による賃金の搾取などの問題から原則として禁止されていました。

 

しかし、産業構造の変化や技術革新が進むにつれ、「自社社員だけで対応するのが難しい業務に対して、外部の人材を一時的に雇用して任せる」というニーズが増加することに。

 

社会全体でより多様な労働力が求められていたことから、派遣労働者の不当な搾取を防ぐため、雇用形態や環境を明記した労働者派遣法が制定されました。

労働者派遣法が改正されてきた理由

労働者派遣法がこれまでに改正を重ねてきたのは、労働市場の変化に適応しながら、派遣労働者の権利を保護するためです。

 

バブルの崩壊やアウトソーシングの普及など、制定後も市場は様々な変化を遂げています。

 

この変化に対応しながら、より派遣労働者の保護に重きを置くため、労働者派遣法は改正をされてきました。

労働者派遣法におけるこれまでの改正

改正内容

1986年

多様な人材活用へのニーズに応えるため、労働者派遣法制定。

1996年

対象業務が拡大され、計26業務が適用対象になる。

1999年

禁止された業務を除いて原則として派遣を行うことができるようになり、労働者派遣が可能な業務が広がった。

2000年

「紹介予定派遣」の解禁。

2004年

「物の製造業務」への派遣を解禁し、「政令26業務」の派遣期間は無制限になる。また、1999年に自由化された業務の派遣期間が最大3年まで延長。

2006年

原則禁止とされていた医療関係業務の一部で派遣を解禁。

2007年

「物の製造の業務」の派遣期間が最大3年まで延長。

2012年

グループ企業内派遣規制など、規制の強化。

2015年

「労働契約の申込みみなし制度」が施行され、全ての労働者派遣事業は許可制になった。さらに、派遣期間の上限が原則一律3年になり、雇用安定措置の義務化も行われた。

2020年

「同一労働同一賃金」を目的にした改正。

2021年

「派遣契約書の電磁記録作成の許可」などの改正。

 

参考:厚生労働省_労働者派遣制度の概要及び改正経緯について

 

次に、労働者派遣法改正の最新ポイントとして、2020年と2021年の改正について解説します。

2020年の労働者派遣法改正のポイント

労働者派遣法改正のポイント

こちらからは、2020年における労働者派遣法改正のポイントとして、「同一労働同一賃金」について説明します。

同一労働同一賃金について

同一労働同一賃金とは、「雇用形態にかかわらず、企業・団体内で同一の仕事をしていれば、同一の賃金を支給する」という考えのもと、正社員との不合理な待遇差を禁止する原則です。

 

2020年における労働者派遣法の改正により施行され、派遣会社は「派遣先均等・均衡方式」または「労使協定方式」のどちらかによる対応が義務化されました。

 

では、「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の概要について解説します。

派遣先均等・均衡方式

「派遣先均等・均衡方式」とは、派遣労働者の待遇を、派遣先企業で同一の仕事をしている従業員と均等・均衡になるように設定する方式のことです。

 

この方式では、賃金をはじめ、賞与や福利厚生、教育訓練などの待遇に不合理がないように配慮する必要があります。

 

例えば、派遣先の従業員が皆勤手当てを支給されている場合、同一の仕事をする派遣労働者にも同じく皆勤手当てを支給することが求められます。

労使協定方式

「労使協定方式」とは、派遣会社と、労働者の過半数で組織される労働組合、もしくは過半数の労働者の代表が「労使協定」を結び、同一労働同一賃金を図る方式です。

 

この場合の労使協定では、派遣労働者の待遇について、厚生労働省が毎年夏頃に発表する「職種ごとに定める賃金額」以上にすることを定めており、派遣先の従業員の賃金と同等にする必要はありません。

 

派遣先が変わっても待遇に大きな影響が出ない方式のため、様々な派遣会社で採用されています。

 

一方で、教育訓練や福利厚生を受ける権利などは、派遣先従業員と均等・均衡を確保することが求められます。

「同一労働同一賃金」における派遣先の義務

派遣先企業は、「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」のどちらであっても、待遇情報を提供する必要があります。

 

提供する情報は、下記のようにどちらの方式が採用されているかによって異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。

 

派遣先均等・均衡方式の場合

  • 比較対象労働者の職務内容
  • 比較対象労働者の配置変更範囲
  • 賃金
  • 福利厚生 など

労使協定方式の場合

  • 教育訓練
  • 福利厚生施設

2021年の労働者派遣法改正のポイント

こちらからは、2021年における労働者派遣法改正のポイントとして、以下6つをご紹介します。

  • 派遣契約書の電磁記録作成の許可
  • 【派遣先】派遣労働者からの苦情対応
  • 【派遣会社】派遣労働者の雇入れ時の説明義務
  • 【派遣会社】日雇い派遣の就業機会の確保
  • 【派遣会社】有期雇用派遣社員に対する希望聴取の義務
  • 【派遣会社】インターネットにおける情報開示の義務

 

上記6つのポイントについて解説していきましょう。

派遣契約書の電磁記録作成の許可

派遣会社と派遣先企業で締結される労働者派遣契約書は、これまで書面のみが認められていましたが、電磁記録での作成も可能になりました。

 

労働者派遣契約書は、期間の経過と共に再度の締結がなされ、通常の雇用契約書よりも数が多くなる傾向があります。

 

このため、電磁記録作成が認められたことにより、派遣会社と派遣先企業のどちらとも大きなメリットが見込まれます。

【派遣先】派遣労働者からの苦情対応

これまで、派遣先企業における派遣労働者の苦情は、派遣会社が窓口となって対応していました。

 

しかし、2021年の改正により、派遣先企業が主体となって苦情に対して誠意をもって対処する必要があることが明記されました。

【派遣会社】派遣労働者の雇入れ時の説明義務

派遣会社が派遣労働者と雇用契約を締結する際、提供する教育訓練や希望者に対して実施するキャリアコンサルティングの説明が義務付けられました。

 

また、教育訓練計画が変更された場合の変更内容の説明も、義務化されています。

【派遣会社】日雇い派遣の就業機会の確保

日雇派遣労働者の落ち度によって解雇されるケースを除き、労働者派遣契約を途中解除した場合、派遣会社は新たな就業機会の確保をすることが義務付けられました。

 

さらに、新たな就業機会が確保できない場合、休業手当の支払いを維持することも義務化されています。

【派遣会社】有期雇用派遣社員に対する希望聴取の義務

派遣会社は、継続就業を希望する有期雇用派遣社員に希望聴取を行い、管理台帳へ記載することが義務化されました。

 

希望聴取では、「派遣先への直接雇用の依頼」「新しい派遣先の提供」などを示しながら、派遣労働者がどの措置を希望するか聴取することが求められます。

【派遣会社】インターネットにおける情報開示の義務

派遣会社は、開示が義務化されていた全ての情報を、インターネットで開示することが義務付けられました。

 

【インターネットの開示が義務化された情報】

  • 派遣労働者の数
  • 派遣先数
  • 労働者派遣に関する料金の額の平均額
  • 派遣労働者の賃金の額の平均額
  • マージン率
  • 教育訓練に関する内容
  • その他、厚生労働省令で定める事項

労働者派遣法で押さえておくべきこと

最後に、企業が労働者派遣法で押さえておくべきことをご紹介します。

 

労働者派遣法で押さえておくべきこと

概要

二重派遣の禁止

派遣先企業が、派遣会社から派遣された労働者を、別の企業へ労働力として提供することは禁止されている。

派遣が禁止されている業務がある

下記5つの業務は、労働者派遣が禁止されている。

・港湾運送業務

・建設業務

・警備業務

・病院・診療所などにおける医療関連業務

・弁護士・社会保険労務士などの士業

派遣契約期間の制限

原則として同じ事業所への派遣は最長3年まで。

日雇派遣は原則禁止されている

日々、または30日以内の期間を定めて雇用する労働者の「日雇派遣」は、原則禁止されている。

離職後1年以内の人を元の勤務先に派遣することの禁止

派遣先企業が、自社を1年以内に離職した人を派遣労働者として受け入れることは、禁止されている。

派遣労働者に就労条件を説明する義務

派遣会社は、派遣労働者に対して下記のような就労条件を説明する義務がある。

・雇用契約の期間

・勤務場所・業務内容

・勤務・休憩時間・休日関係

・賃金関係

・退職関係

偽装請負の禁止

形式的には請負契約であるにもかかわらず、実態としては労働者派遣であるものは禁止されている。

 

労働者派遣法に違反することで、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金などの罰則が科せられる可能性もあるので、十分に注意しましょう。

まとめ

今回は、労働者派遣法の概要、改正されてきた理由やこれまでの改正、2020年と2021年に改正された労働者派遣法のポイントについて解説しました。

 

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この記事の筆者

Y. Sato

「人生経験したもん勝ち」がモットー。
習うより慣れよ精神で営業~バックオフィスの様々な業務を担当ののち、現在はマーケティング部門所属。
#お酒好き #千葉の山奥出身 #子育て奮闘中

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